コインランドリー経営・開業お役立ちコラム
「コインランドリー機器は減価償却の対象になるのか」「耐用年数は何年か」などの疑問を持つ方は多いでしょう。経営に関わるため、理解を深めておきたい方は多いでしょう。
結論から述べると、新品のコインランドリー機器の耐用年数は13年に設定されています。中古の製品を導入する場合は、原則として耐用年数を個別に算出しなければなりません。
本記事では、コインランドリー機器の耐用年数に加え、機器の入れ替えを検討する適切なタイミングや節税のポイントについても解説します。
減価償却は、固定資産の取得にかかった費用を、耐用年数に配分し、各年の費用(減価償却費)として計上する会計処理の方法です。固定資産は、以下の条件を満たすものといえるでしょう。
【固定資産】
減価償却の対象になる資産には、耐用年数が定められています。コインランドリー機器の耐用年数は13年です(洗濯業・理容業・美容業・浴場業用設備に該当するため)。
ここでいうコインランドリー機器は、洗濯乾燥機などを指します。耐用年数は実際の使用可能期間を示すものではありません。実際には、これより長く使用できる場合や、早期に故障する場合もあります。
出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」
コインランドリー機器を中古で購入するケースもあります。中古資産を購入して事業に利用した場合は、原則として事業に利用したとき以降の使用可能期間として見積もれる年数を耐用年数として扱います。見積もりが難しい場合は、簡
便法に基づいて算出した年数を耐用年数として用います。簡便法の計算式は「耐用年数を経過している場合」と「耐用年数を経過していない場合」で異なります。
出典:国税庁「No.5404 中古資産の耐用年数」
耐用年数を経過している中古コインランドリー機器は次の計算式を用います。
中古コインランドリー機器の耐用年数=新品コインランドリー機器の耐用年数(13年)×20%
この場合、耐用年数は2.6年となります。ただし、端数の扱いについて以下の取り決めがあります。
算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨て、その年数が2年に満たない場合には2年とします。
したがって、耐用年数を経過している中古コインランドリー機器の耐用年数は原則として2年です。
耐用年数を経過していない中古コインランドリー機器は次の計算式を用います。
中古コインランドリー機器の耐用年数=(新品コインランドリー機器の耐用年数(13年)-経過した年数)+(経過した年数×20%)
経過した年数が5年であれば、中古コインランドリー機器の耐用年数は次のようになります。
(13年-5年)+(5年×20%)=8年+1年=9年
この場合も、1年未満の端数は切り捨て、2年未満であれば耐用年数は2年となります。
コインランドリー機器の耐用年数と耐久年数は異なります。ここからは、耐用年数にかかわらず、機器の入れ替えやリニューアルを検討する目安について説明します。
不具合が目立つようになってきた場合は、入れ替えやリニューアルを検討しましょう。放っておくと、店舗の評判が悪くなる恐れがあるためです。さらに大きなトラブルにつながることも考えられます。不具合の例は次のとおりです。
【不具合の例】
定期清掃や定期点検を行っても不具合が続く場合は、入れ替えやリニューアルを検討する適切な時期と考えられます。
コインランドリー機器も、日々進化しており、新機能を搭載した機器も登場しています。10年以上前の製品に比べると、省エネ性能などを高めているものが多いでしょう。たとえば、高性能な自動節水機能で使用する水の量を大幅に減らしている製品などが登場しています。
最新機能を搭載した機器を導入したい場合も、入れ替え・リニューアルのタイミングといえるでしょう。ただし、十分に検討しないまま入れ替えを進めると、期待した効果が得られない可能性があります。目的を踏まえて、新たな機器を選定することが大切です。
コインランドリー機器を入れ替えることで、競合店との差別化を実現できます。具体例として、以下の取組があげられます。
【利便性を高める取り組み】
洗濯ものの長時間放置を防げるため、前者は店舗にもメリットのある取り組みです。機器の入れ替え・リニューアルにより、競合店と差別化を図れる可能性があります。
コインランドリー機器の入れ替え・リニューアルは、機器の導入内容によって新規顧客の獲得につながる可能性があります。
たとえば、洗濯・乾燥の終了を通知する機器を導入したとします。競合店がこのタイプの機器を導入していなければ、洗濯ものの回収を忘れてしまう層や放置された洗濯ものに困っている層にアピールできるでしょう。
利用する店舗の変更を検討する方がいるかもしれません。新しい機器は、ユーザーのニーズを捉えることで、より強力なアピール材料となります。
続いて、コインランドリー機器を入れ替え・リニューアルする際に意識したいポイントを解説します。
コインランドリー機器を選定する場合は、店舗の空きスペースと製品の大きさを確認しましょう。両者の兼ね合いによっては、導入したい製品の導入が難しいケースも考えられます。
また、設置後のレイアウトや通路幅も確認しておく必要があります。無理に導入すると、店舗内の機器設置数が減少してしまうことや、ユーザーの動線が悪化するおそれがあります。
トラブルを防ぐには、店舗に適したサイズの製品を選定する必要があります。
新しい製品を導入する際に、顧客のニーズを忘れてしまうことが少なくありません。コストを考えると、店舗の都合を優先したくなるためです。
ただし、店舗のメリットだけを追求すると、顧客離れを招く恐れがあります。結果的に、使い勝手の悪い店舗になってしまうことがあるためです。
集客施策の一環として新しい機器を導入する場合は、顧客のニーズを踏まえて製品を選定することが大切です。顧客のニーズは、ユーザーの行動を観察したり、競合店を分析したりすると把握できます。
新たに導入するコインランドリー機器の使いやすさも、忘れずに確認しておきましょう。直感的に使い方がわからないと、顧客離れを招いてしまう恐れがあります。
特に、既存の製品と使い方が大きく異なる場合は注意が必要です。ユーザーフレンドリーな設計でも、使いにくいと評価されることがあります。また、店舗にとっての使いやすさもチェックしておくことが重要です。保守・管理を手軽に行えるものを選んでおくと業務効率を高められます。
アフターフォローの内容は、事業者で異なります。最低限のサービスしか提供していないところもあれば、定期点検、販促ポスター配布、経営アドバイスなどの充実したサービスを提供しているところもあります。
コインランドリー機器は、導入すれば終わりといえる製品ではありません。導入後もメンテナンスが必要なため、アフターフォローの内容は事前に確認しておきましょう。自社が必要としているサービスを受けられることを確かめておきましょう。
コインランドリー機器の中には、IoTシステムを導入しているものがあります。IoTシステムを導入するメリットは、これまでにない顧客体験を提供できることです。一例として、ユーザーに洗濯・乾燥の終了を通知するサービスがあげられます。また、IoTシステムは、店舗側にもさまざまなメリットをもたらします。(※具体的な機能は製品で異なります)
【メリットの例】
コインランドリー機器を新たに導入する場合は、IoTシステムに注目してみてはいかがでしょうか。
ここからは、コインランドリー経営に活用できる節税方法を紹介します。
中小企業投資促進税制を利用すると、税額を抑えられる可能性があります。中小企業庁は、本制度を以下のように説明しています。
機械装置等の対象設備を取得や製作等をした場合に、取得価額の30%の特別償却 又は 7%の税額控除(※1)が選択適用できるものです。
引用:中小企業庁「中小企業投資促進税制」
主な対象設備は以下のとおりです。
【対象設備】
個人事業主または資本金3,000万円以下の中小企業は30%の特別償却または7%の税額控除、資本金3,000万円超の中小企業は30%の特別償却を選択できます。ただし、コインランドリー業で、機器装置の管理のほぼすべてを他者に委託している場合は同制度の対象外です。
先端設備等導入制度は、中小企業が労働生産性の向上、賃上げなどを目指し先端設備を導入する取り組みに対して、税制支援を行う制度です。具体的には、先端設備導入計画の認定をうけて、一定の要件を満たすと、固定資産税の特例を受けられます。対象設備と特例措置は以下のとおりです。
概要 | |
対象設備 | 所定の条件を満たす以下の設備
・160万円以上の機器装置 ・30万円以上の測定工具および検査工具 ・30万円以上の器具備品 ・60万円以上の建物付属設備 |
特例措置 | ・1.5%以上の賃上げを表明したもの:3年間にわたり課税標準を1/2に軽減
・3%以上の賃上げを表明したもの:5年間にわたり課税標準を1/4に軽減 ※令和9年3月31日までに取得すること |
このほかにも、さまざまな条件が設けられています。詳しくは、中小企業庁の公式サイトなどでご確認ください。
出典:中小企業庁「先端設備等導入制度による支援」
事業所得は、事業で得た総収入から必要経費を減じて求めます。したがって、かかった経費を漏れなく計上することが大切です。
金額や支払時期を調整しやすい経費として広告宣伝費があげられます。課税の対象になる事業所得が多くなりそうな場合は、広告宣伝を積極的に行うとよいかもしれません。当該年度の事業所得を抑えるとともに、将来のリターンも期待できます。
ここでは、コインランドリー機器の減価償却と耐用年数などについて解説しました。
法律で定められている耐用年数は13年です。
ただし、中古品を購入した場合は、原則として個別の計算が求められます。
経営に深くかかわるため、詳細を理解してから機器を導入しましょう。
コインランドリーに関連するビジネスを始めたい方はニドコインランドリーにご相談ください。
物件調査、事業計画の作成、オープン支援などをワンストップで提供しています。
また、ホテル、病院、学生寮などを対象に、機器のレンタルも行っています。
この記事の監修者
横山 秀二 (ヨコヤマ シュウジ)
株式会社ニド 営業部長
《経歴・略歴》
工業高校(機械科)を卒業後、車業界へ就職、その後機械に興味を持ちランドリー業界に転職
《事業への思いや強味》
車業界で機械修理と営業職を行ってきたので、営業+機械修理などの技術職が得意です。
ランドリー業界の仕事も車の仕事と似た所が有り、新規営業などを行いながら機械修理を行うので、営業+機械修理が得意です。また、販売して終わりでなく販売してからが長いお付き合いと思いながら取り組んでおります。