コインランドリー経営をはじめるには、多額の初期投資が必要です。補助金や融資制度を活用することで、経済的な負担を軽減できます。
コインランドリー事業は設備投資が大きいため、設備購入や店舗改装に必要な費用を支援する複数の補助金が提供されているのが特徴です。
本記事では、コインランドリー経営を支援する補助金や融資制度について解説します。コインランドリー経営を検討している方は、参考にしてください。
コインランドリー経営は、24時間営業や非接触型サービスを提供するビジネスモデルとして、安定した収益を見込める業態です。市場規模が拡大しており、都市部で新規開店や設備更新を行う事業者が増加しています。
開業には、物件選定や設備投資、集客方法など多くの準備が必要です。補助金や融資制度を上手に活用することで、経営を支援してくれるさまざまな制度が整っています。
初期投資が高額になりがちなコインランドリーの開業・設備更新は、補助金を活用することで、経営負担を軽減する手助けになるでしょう。
コインランドリー事業を支援するために提供されている補助金は、事業の内容や規模に応じてさまざまです。おもな補助金制度は、下記のとおりです。
詳しく見ていきましょう。
中小企業や個人事業主を対象に、生産性向上や革新的なサービスの開発、設備投資を支援する制度です。コインランドリー事業者は、最新機器の導入やスマートシステムの導入に活用できます。
最大補助金額 | 1,000万円 |
補助率 |
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高効率な洗濯機や乾燥機の導入、スマホアプリを使った予約システムの導入などが対象です。ものづくり補助金の制度を活用できれば、技術革新や効率化を図れて、事業の競争力を高められるでしょう。
これまで業態転換や新分野進出を支援してきた「事業再構築補助金」は2024年度で終了し、2025年度からは新制度「新事業進出補助金」に引き継がれます。中小企業などによる新規事業の挑戦を支援するもので、コインランドリー業界でも新店舗建設や設備導入に活用が期待できます。
公募スケジュールと、補助金の概要は、下記のとおりです。
区分 | 内容 |
公募スケジュール
(2025年度) |
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補助対象者 | 新規事業に挑戦する中小企業など
(詳細は公募要領を参照) |
補助率 | 1/2 |
補助上限額 | 従業員数によって異なり、最大9千万円
※補助下限は750万円 ※()内の金額は特例適用後の上限額 |
補助対象経費 | 機械装置費、建物費、システム構築費、広告宣伝費など |
参考:新事業進出補助金
公募要領を熟読し、自社の事業計画と照らし合わせて有効活用を検討しましょう。
従業員数が少ない事業者を支援するための制度です。コインランドリー業界の小規模事業者にも適用できます。
おもに、店舗改装や販促活動、IT導入に使用できます。補助金額は最大50万円(低感染リスク型は100万円)、補助率は最大3/4です。
ただし、小規模事業者持続化補助金は、申請にあたって経営計画の作成や税理士などの専門家への依頼が必要です。しかし、申請の難易度は高く、補助金の対象になりにくい点に注意しましょう。
コインランドリーの開業や運営に必要な資金調達を行うためには、下記の融資制度の利用も重要です。
利用条件や適用範囲、利率などの特徴が異なるため、事業者は自社の状況に合わせて最適な融資制度を選びましょう。
コインランドリーの開業時に多く利用されている融資制度です。
利率・融資限度額 |
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貸付期間 |
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対象経費 | 設備資金(土地及び建物に関わる資金を除く) |
1,500万円以上の融資を申請する場合、税理士などの協力が必須です。融資を受けるためには、経営力向上計画の認定を受ける必要があります。
認定を受けることで、金利が基準金利から0.9%引き下げられる特別金利で融資を受けられます。基準金利が1.8%の場合、0.9%引き下げられ、1.8%-0.9%=0.9%の低金利で融資が可能です。コインランドリー事業の開業時にかかる初期費用を抑えられるため、開業時の資金調達におすすめの制度です。
保証協会融資は、民間金融機関から融資を受ける際に、保証協会が保証人となり融資のリスクを軽減する制度です。
条件 | 経営力向上計画の認定、及び新事業活動に該当 |
保証限度額 |
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融資枠は、経営力向上計画の認定を受け、新事業活動に該当する場合、特別に保証枠が増加する制度があります。無担保保険の場合、通常8,000万円の保証枠が、特例によって8,000万円追加されます。合計で最大1億6,000万円までの融資が可能です。
増額枠は、コインランドリーの新規開業や設備投資を行う際に有効です。新事業活動や新商品・サービスの導入に伴い、事業資金の調達をより柔軟に行えます。
「経営革新計画」に基づく優遇措置は、法人向けの融資制度であり、事業の革新や新たな取組に対する支援を行うのが目的です。コインランドリー事業の場合、設備投資に対する低金利融資や無担保保証枠の増加といった優遇措置が利用できます。
条件 | 経営革新計画の認定 |
おもな優遇措置 | 1.信用保証の特例
普通保証や無担保保証の別枠設定、新事業開拓保証の限度額引き上げ |
2.日本政策金融公庫の特別利率による融資制度
必要な設備資金及び運転資金に対し、▲0.65%の特別利率を適用 |
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3.高度化融資制度
特定の高度化事業を実施する場合、無利子融資が可能 |
参考:中小企業庁|経営革新計画
経営革新計画が承認されると、日本政策金融公庫の融資に対して特別金利(通常金利から最大0.65%引き下げ)が適用されます。さらに高度化融資制度を使うことで、無利子での融資も可能です。
融資枠の増加や、新事業開拓の保証枠拡大が行われるため、事業規模の拡大を目指すコインランドリー事業者に有利な制度です。
コインランドリーを開業するには、物件費用に加えて、店舗の内装工事や必要な機器購入費が発生します。開業に必要な総資金は、店舗の規模や機器の選定によって異なります。
内装工事や基礎工事にかかる費用は800〜1,000万円、基礎工事費は最低でも500万円以上です。これらの初期費用を合わせると、少なくとも2,000万~3,000万円程度の資金が必要になると見込まれます。物件費・設備投資・内装費用を考慮した目安となります。
補助金を活用する際は、下記を押さえておきましょう。
詳しく解説します。
補助金が3分の1の割合で支給される場合でも、最初に支払うべきは全額です。そのため、補助金を申請する際は、最初に十分な資金準備が必要となります。
支払いと補助金の支給タイミングに差があるため、事業を進めるためには事前に必要な資金を確保しておくことが重要です。こうすることで、資金不足で事業が遅れるのを防げます。
補助金では、事業期間内に支出された経費しか対象となりません。そのため、事業開始前に発注・契約済みの経費や事業期間外に支払った費用は補助金の対象外となります。
事業再構築補助金などの補助金を利用する際は、交付決定後から事業が開始されるまでの期間に支出された経費が対象となる点を理解しておくことが重要です。計画的に支出を行い、事業期間内に発注や支払いを完了させましょう。
補助金を受け取るためには、事務処理が重要です。申請後、事業が完了した際に必要な書類(経費明細書や実績報告書)を提出しなければなりません。しかし、書類が不十分であったり、経費が補助金対象外のものであったりすると、補助金を受け取れない可能性があります。
補助金審査の中でも重要なのが「申請内容書(事業計画書)」です。この書類の内容が不十分だと、審査に落ちてしまうケースも珍しくありません。
そのため、補助金申請の実績がある中小企業診断士や税理士など、経験豊富な専門家に依頼しましょう。プロのサポートを受けることで、審査に通過しやすい計画書を作成でき、補助金を確実に受け取るための体制を整えられます。
なお、フランチャイズ加盟料は補助の対象外となるため、事前に対象となる経費を確認しておくことが必要です。書類提出や経費報告を正確に行うことで、補助金を確実に受け取れます。
コインランドリーの開業には、物件費や機器購入、内装工事などで数千万円の初期投資が必要です。補助金や融資制度を活用すれば、資金調達がスムーズになります。
融資に関しては、メガバンクより信用金庫や地方銀行の方が融資に前向きで、親身な対応を受けやすい傾向があります。地元密着型の金融機関を活用すれば、資金調達のハードルを下げられるでしょう。
一方で、補助金はコインランドリー業態の採択率が比較的低いため、申請しても不採択となる可能性がある点には注意が必要です。過度な期待を持ちすぎないことが重要です。
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